今回買取に伺ったのは、京都市左京区です。

銀閣寺、南禅寺、平安神宮、下鴨神社など歴史的な寺社仏閣が多数存在しているほか、京都大学や、京都芸術大学などがあり、大変文化度の高いエリアでもあります。

映画や小説、漫画など物語の舞台になることも多く、日本を訪れる外国人からも人気の観光地となっています。

 

左京とは、天皇から見て左側という意味です。

天皇は御所に南側を向いて座っておられたので、東が左側になります。北を上にした現代の地図では右に左京区、左に右京区があるのはそのためです。

左京区は右京区に次ぐ面積の区で、大阪市全面積よりも広い、大変広大な区となります。

大きな区とあって、歴史的にも重要な文化財が数多くあり、古い家屋や蔵なども多く、骨董品がたくさん眠っている街です。

 

そんな京都市左京区で今回、買取させていただいたのは「香盆」です。

香盆は、香道具のひとつです。炉や香合をのせるお盆のことを指します。

 

香道とは古代から続いている芸道のひとつで、香木をたいて、その香りを楽しむものです。

香木は、主に東南アジアで産出される沈水香木などのことで、チンチョウゲ科の木が真菌などの作用によって樹脂状になったものといわれています。

 

香木が初めて日本へやってきたのは、約1400年も前のことだとされています。

「日本書紀」に、淡路島に流れ着いた香木を島人が拾って、薪と一緒に燃やしたところ大変良い香りがしたので、宮廷に献上したという記述があります。

 

その後、室町時代に「香道」が確立。室町幕府、第8代征夷大将軍である足利義政が公家の三條西実隆や志野宗信らに命じて一定の作法やルールを集大成し、現在の香道の基礎をつくったと言われています。

 

香木を六つの産地に分類しその香りを五種の味覚になぞらえて表現したものを「六国五味（りっこくごみ）」といいます。

 

六国とは以下のとおりです。

 

• 伽羅（きゃら）産地：ベトナム
• 羅国（らこく）産地：タイ
• 真南蛮（まなばん）産地：インド南西
• 真那伽（まなか）産地：マラッカ
• 佐曽羅（さそら）産地：サスバール（インド）
• 寸門陀羅（すもだら）産地：スマトラ島

 

これをさらに下記の五味に分類します。

 

• 辛（からい）
• 甘（あまい）
• 酸（すっぱい）
• 鹹（しおからい）
• 苦（にがい）

 

香盆には、これらの「六国五味」の香木をたいた香炉を乗せて使います。

 

香道で使用される香道具は、香木の香りを観賞するために、香木を割ったり、香りを聞く（嗅ぐ）ための道具で、実用性だけではなく、芸術的な価値の高いものも数多くあります。

 

また、香盆は茶道の七事式でも使われます。

表千家、裏千家、江戸千家などの茶道流派で行われている稽古方法で、江戸時代に作られました。

江戸時代に、町民の間でも茶道が広がったことから、より伝統を重んじる、禅の精神に基づいた、特殊な稽古法が制定されたといわれています。

 

今回買取させていただいた香盆は、女桑（めぐわ）で制作されており、香道具の中でも人気のある材質です。

女桑とは、黄蘗（きはだ）という柑橘系の広葉樹に着色し、桑に似せた木材です。

柔らかくて加工しやすく、木目が美しいため、家具などにもよく使われる材質です。買取させていただいたお品も、美しい木目が際立つデザインとなっており、目を惹きます。

 

また、香盆は長方形のものがほとんどですが、こちらのお品は八角形と珍しいお品です。

いつも通り、丁寧に査定させていただき、売主さまもご納得の上で、適正価格で買取をさせていただきました。

香盆のような道具は、骨董としてコレクションするだけではなく、実際に使うことができるところもポイントです。

香道や茶道を嗜む方にとっては、客人をもてなすための大切な道具のひとつです。質の良いものを揃えたいという方もたくさんいらっしゃいます。

今回のこの香盆は、品質も良く、八角形という珍しい形もユニークで、お客様をおもてなしするのに最適なお品といえます。人気の品となりそうです。

 

古美術すみのあとでは、香道具のほか、中国書画・中国美術・仏教美術・工芸品など、幅広いジャンルの買取をさせていただいております。

お客様の大切なお品物を業界実績40年の確かな鑑定眼で査定させていただきます。

作品の背景や、現在の価値なども含めて、丁寧にご説明し、ご納得いただけるような買取金額を提示させていただいております。

 

無料査定は1点から受け付けております。

品物の点数が多い場合や、ご自身では整理できない状態にある場合は、現地に訪問させていただくことも可能です。

今回、京都市左京区までお伺いいたしましたように、無料で全国どこへでも出張買取に伺いますので、ご相談ください。

訪問当日は専門スタッフが丁寧に査定させていただき、金額にご納得いただけましたら、その場で現金でお支払いいたします。

 

今回の香盆のような、香道具の買取も強化しております。

自宅に使用していない香道具が眠っているという方、遺品として受け継いだけれど価値がわからなくて困っているという方は、古美術すみのあとまで、まずはお気軽にお問い合わせください。