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高麗青磁を高価買取!李朝、朝鮮白磁との違いとは?
高麗王朝の美意識を象徴する高麗青磁は、深みのある翡翠色の釉調、象嵌技法の繊細さ、柔らかく上品な器形によって、現在も世界中のコレクターや美術愛好家から高い評価を受けています。なかでも象嵌青磁や粉青沙器、青磁象嵌雲鶴文・菊花文などは特に人気が高く、時代の古さや保存状態、意匠の美しさによっては高額で取引されるケースも少なくありません。当店では、こうした高麗青磁を専門的に査定・買取しており、壺・瓶・皿・香炉・徳利・茶碗など、多種多様な青磁を丁寧に評価いたします。
高麗青磁は、表面の釉薬の発色や象嵌の精緻さ、胎土の特徴、器形のバランスなど、見極めるべきポイントが多い美術品です。一般のリサイクルショップや骨董の取り扱いに慣れていない店舗では、本来の価値が十分に評価されないまま安価に扱われることもあります。当店では、高麗青磁に精通した鑑定士が一点一点を詳細に確認し、時代判別・技法・窯の特徴などを踏まえて適正な価格をご提示いたします。「これは本物なのか?」「時代はいつ頃か?」「どのくらい価値があるのか?」といったご相談にも丁寧に対応いたしますので、初めて売却される方でもご安心ください。
また、蔵整理・遺品整理で発見された高麗青磁、長年飾っていた壺や花瓶の売却、コレクション整理なども大歓迎です。古いもので汚れやキズがある場合でも、鑑定のプロが状態に合わせてしっかり査定いたします。無銘の作品や、箱書きのない品でも問題ございません。もし複数点ある場合はまとめて査定することで、より高い評価につながることもあります。
出張買取にも柔軟に対応しており、大きな壺や重い花瓶、数が多いコレクションもその場で査定いたします。お客様に手間をかけることなく、安心して売却いただける体制を整えております。高麗青磁の売却をご検討されている方は、ぜひ一度当店へご相談ください。専門知識に基づいた丁寧な査定で、大切な青磁の本来の価値を最大限に評価させていただきます。

目次
- 高麗青磁の歴史
- 高麗青磁と李朝白磁の違い
- 高麗青磁を高く売るポイント
- まとめ ― 高麗青磁を高く売るためには「専門性」が全て
高麗青磁の歴史
高麗青磁(こうらいせいじ)は、10世紀から13世紀頃の高麗王朝(918–1392)において制作された陶磁器であり、その翡翠のように深く澄んだ青緑色の釉調は、東アジア陶磁史の中でも極めて高い評価を受けています。高麗青磁の美しさは、中国の越州窯青磁を基礎としながらも、高麗独自の感性と技術を加えることで生まれたもので、象嵌(ぞうがん)技法に代表される独創的な装飾は、世界の陶磁史においても特筆すべき革新でした。本稿では、高麗青磁の成立から黄金期、衰退、そして現代評価に至るまで、その全体史を体系的に解説します。
1. 高麗青磁の成立:越州窯青磁の影響と朝鮮半島での受容
高麗青磁の源流は、中国・五代十国時代から北宋にかけて栄えた越州窯の青磁にあります。越州窯の青磁は、やや灰味を帯びた青緑色で、厚手の釉薬による落ち着いた風合いを特徴としていました。高麗と宋は活発な交易関係を持ち、越州窯や龍泉窯の青磁が朝鮮半島に多く流入していました。これを受けて、高麗の陶工たちは中国青磁を模倣しつつ独自の研究を重ね、次第に固有の美意識を築いていきます。
10世紀末から11世紀初頭頃の最初期高麗青磁は、まだ中国の影響が大きく、型や釉調も越州窯の特徴を強く残していました。しかし、胎土(粘土の質)や釉薬の調合、窯の焼成技術が朝鮮の土・気候・美意識と結びつくにつれて、より澄んだ青緑色を持つ“翡翠色”が発現していきます。この「翡翠青磁」の誕生こそが高麗青磁の大きな飛躍であり、その後の黄金期に向けた基礎となりそういった高麗青磁は買取が期待できます。
2. 高麗青磁の黄金期(12世紀前半〜13世紀前半):象嵌技法の誕生と国宝級名品の成立
高麗青磁が最盛期を迎えたのは12世紀から13世紀にかけてです。この時期、高麗青磁は中国青磁には見られない独自の技術を確立し、特に象嵌(ぞうがん)技法は高麗青磁の代名詞といえる存在になりました。
◎ 象嵌技法の革新
象嵌とは、素地に文様を彫り込み、その窪みに白土や黒土を埋めてから釉薬をかけて焼成する技法です。白い象嵌(白象嵌)、黒い象嵌(黒象嵌)、二色使いの「白黒象嵌」などがあり、文様は梅花、菊花、牡丹、雲鶴、波涛(はとう)など、高麗独自の優雅で清廉な美しさを宿しています。
象嵌技法は高麗で初めて体系化されたとされ、世界陶磁史においても画期的な技術でした。特に雲鶴文象嵌青磁などは、高麗人の宗教観・自然観を反映した文様構成を持ち、その優雅なリズム感は中国陶磁には見られない独自性を示しそういった高麗青磁は買取が期待できます。
◎ 黄金期を支えた窯場:康津・扶安
高麗青磁の主要窯場は、現在の韓国・全羅南道に位置する康津(カンジン)と扶安(プアン)です。康津窯は翡翠色の発色が特に優れ、扶安窯は象嵌技法に秀でていたとされます。窯場周辺の地質が胎土や釉薬の材料に適していたことも、高麗青磁が高品質であり続けた理由のひとつです。
◎ 王室・貴族による需要の増大
高麗王室は仏教に篤く、寺院・仏具に青磁を積極的に使用しました。また宮廷儀式、祭祀、日常の器としても青磁が用いられ、王室御用窯による精緻な作品が数多く制作されました。この宮廷需要こそが、高麗青磁の品質向上を強く推し進めた原動力でした。
3. 高麗青磁の衰退と転換:元寇・経済変動・技術の北移(13世紀後半〜14世紀)
13世紀後半から14世紀にかけて、高麗青磁は次第に衰退へ向かいます。その背景には、いくつかの社会的・政治的要因が存在しました。
◎ 元の支配による混乱
高麗は蒙古(元)に服属し、その影響を大きく受けました。戦乱や徴用による労働力不足、経済混乱により、高麗青磁の制作環境は大きく損なわれます。その結果、象嵌技法の精度や釉薬の質は徐々に低下していきました。
◎ 粉青沙器(ふんせいさき)の台頭
衰退期には、象嵌青磁からより素朴で落ち着きある粉青沙器へと制作の主流が移行します。粉青沙器は、鉄分を含む白土化粧と透明釉を用いた柔らかな灰青色が特徴で、象嵌文様を施した「粉青象嵌」も人気を博しました。これは朝鮮王朝(李氏朝鮮、1392–1910)へと続く陶磁の新たな美意識の胎動といえ、そういった高麗青磁は買取が期待できます。
◎ 技術の断絶と継承
象嵌技法などの高度な技術は次第に失われ、14世紀末には高麗青磁の水準は全盛期に及ばなくなります。しかし、釉薬の配合や焼成技術は李朝陶磁に継承され、朝鮮白磁の名品を生む土壌ともなりました。
4. 高麗青磁の評価と現代の再発見:美術市場での価値
◎ 19〜20世紀の再評価
高麗青磁が国際的に高く評価され始めたのは19世紀末〜20世紀初頭、朝鮮半島が開国し海外の研究者・蒐集家が流入した時期です。日本の美術史家・収集家、西洋のオリエンタリストらがその美しさに注目し、高麗青磁は一躍世界的な評価を得ました。
特に「翡翠色の青磁」は“世界でもっとも美しい青磁”と評され、象嵌技法の独創性は学術的にも大変注目されそういった高麗青磁は買取が期待できます。ました。
◎ 現代の美術市場での価値
現在、12世紀黄金期の高麗青磁は国宝クラスとして扱われ、博物館・美術館の収蔵品としても非常に重要な位置を占めています。美術市場においても、保存状態・釉調・象嵌文様・器形が揃った名品は高額で取引され、希少性は年々高まっており高価買取されています。
特に人気が高いのは以下のジャンルです。
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象嵌雲鶴文青磁
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象嵌牡丹文・菊花文青磁
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翡翠色が濃い康津系青磁
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香炉・瓶・壺・梅瓶など儀礼用器形
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王室献上品と推定される精緻な作品
一方、欠け・ヒビ・修復があっても、時代の古い高麗青磁は一定の市場価値が保たれています。
5. 高麗青磁の美的特質:なぜ高麗青磁は世界で評価されるのか
高麗青磁の魅力は、その青緑色だけではありません。以下の美的特質が複合的に調和することで、高麗青磁は“東アジア陶磁の頂点”のひとつと称されます。
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翡翠のような透き通る青色
光を内側から放つような透明感があり、釉薬の深さと奥行きは他に類を見ない。 -
象嵌技法の緻密さと独創性
白と黒の対比が青磁の静かな色調に強いアクセントを生む。 -
器形の優雅さ
壺・瓶・香炉などの曲線が極めて洗練され、均衡のとれたフォルムが美しい。 -
宗教観・自然観の反映
雲鶴・梅花・蓮などの文様は、仏教や自然を大切にした高麗文化そのもの。 -
完全性と儚さの共存
完璧を追求しながらも、どこか柔らかく儚い表情を見せる釉調が、鑑賞者の感性を強く刺激する。
6. 結語:高麗青磁は「静けさの美」を象徴する世界的名品
高麗青磁は単なる古陶磁ではなく、高麗王朝の美意識そのものを象徴する文化遺産です。中国青磁の影響から始まり、独自の翡翠色と象嵌技法を生み、12〜13世紀に黄金期を迎え、衰退を経て、現代で再評価されるという長い歴史を歩んできました。その美しさは800年以上の時を超えても色褪せることなく、多くの人々を魅了し続けています。
今日でも、美術館・コレクター・骨董市場において高麗青磁の価値は非常に高く、その文化的・美術的な評価は今後も続くと考えられます。翡翠のような釉色、象嵌の繊細な意匠、宮廷文化の洗練が融合した高麗青磁は、まさに“静けさの美”を体現する、東アジア陶磁史の最高峰のひとつといえるでしょう。
高麗青磁と李朝白磁の違い
高麗青磁(918〜1392)と李朝白磁(1392〜1910)は、朝鮮半島の陶磁史において「二つの頂点」と呼ばれる存在であり、その美的価値、技術、文化的背景、社会的役割は大きく異なります。高麗青磁は翡翠色に輝く優雅で装飾的な美しさを特徴とし、李朝白磁は白一色の静寂と端正な造形によって世界中の美術愛好家を魅了してきました。両者はしばしば比較されますが、その違いは単なる色や技法の差ではなく、王朝の価値観、社会構造、宗教観、哲学的思想の相違に深く根ざしています。本稿では、両者の違いを多角的に比較し、その魅力を5000字規模で詳細に解説します。
1. 歴史的背景の違い ― 王朝の価値観が陶磁に反映される
◎ 高麗青磁:仏教文化の繁栄と貴族中心社会の美
高麗王朝は仏教を国教とし、寺院建設や仏具製作が盛んでした。そのため、青磁の多くは仏具・供物器・儀式用の器物として制作され、王族・貴族の嗜好を満たすために装飾美を追求しました。
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仏教儀礼に用いる香炉、華瓶、茶碗
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貴族の贅沢品としての象嵌青磁
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“翡翠色の青磁”への到達を目指した高い技術力
高麗社会は階層性が強く、貴族文化が栄えていたため、青磁には華やかな装飾性と繊細さが求められました。
◎ 李朝白磁:儒教国家の成立と質素・清廉の精神
1392年、高麗に代わって朝鮮半島を支配した李氏朝鮮は、政治理念として儒教(特に朱子学)を国家の根幹に据えました。儒教では「節度」「清廉」「静寂」「質素」が尊ばれ、贅沢な装飾は批判の対象でした。
そのため、白磁は儒教的精神を象徴するような、無垢・純潔・潔白のイメージを持つ焼物として発展していきます。
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宮廷器から庶民の器まで幅広い用途
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白一色の端正な器形
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実用性と精神性が一体化した焼物
美の価値基準がまったく異なるため、高麗青磁と李朝白磁は色彩・技法だけでなく、存在意義そのものが根本的に異なっていたのです。
2. 色彩の違い ― 翡翠の青と白雪の白
◎ 高麗青磁の翡翠色(青磁色)
高麗青磁の最大の特徴は、翡翠玉のように透き通る青緑色の釉調です。この色は
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鉄分を含む釉薬
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還元(酸素を減らす)焼成
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康津・扶安の良質な胎土
によって生み出されます。
釉薬の奥に光が吸い込まれるような深みがあり、柔らかく湿り気を帯びた独特の色は“翡翠青磁”として世界的に高く評価されます。
◎ 李朝白磁の純白
白磁の白は
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鉄分の少ない白い胎土
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透明釉(青白釉の場合もあり)
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酸化焼成
によって生み出される明るい白です。
李朝白磁の白色は、単なる白ではなく、青味を帯びた「雪白」、灰味のある「乳白」、柔らかい「象牙白」など、窯場や時期によって微妙に異なる複数の“白の世界”があります。
白磁の白は儒教の精神に直結しており、装飾を極力抑えた静謐な美が特徴です。
3. 技法と造形の違い ― 象嵌青磁 vs 無地の白磁
◎ 高麗青磁の技法:象嵌・彫刻・透彫・刻花の多様性
高麗青磁は技法が非常に多彩で、次のような加飾が施されます。
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象嵌(白象嵌・黒象嵌・二色象嵌)
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刻花(彫り文様)
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浮彫
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透彫(透かし細工)
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型押し文様
特に象嵌は世界陶磁史において高麗で確立された独創的技法で、象徴的な文様には以下があります。
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雲鶴文(高麗文化を象徴)
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牡丹文(富貴)
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菊花文(長寿)
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蓮華文(仏教)
器形は優雅で曲線的、均整のとれたフォルムが多く、工芸品でありながら“芸術的完成度の高い造形作品”といえます。
◎ 李朝白磁の技法:無地の美・筆画の美
李朝白磁は基本的に加飾を持たない無地が特徴ですが、宮廷向けや民間の地方窯では以下のような表現もあります。
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青花(染付)
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鉄砂文(鉄絵)
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彫花・陽刻
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粉青化した白磁への化粧
しかし、根本にあるのは「加飾より造形美を重視する」という思想です。
白磁の造形は
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完璧な左右対称
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静かな張りのある曲線
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端正な壺・瓶・碗の形
など極めて理性的で、儒教的規律の美しさを感じさせます。
4. 文化・思想的違い ― 仏教の美学 VS 儒教の美学
◎ 高麗青磁の美は仏教の象徴
高麗青磁の文様や色は、多くが仏教世界の象徴性を帯びています。
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蓮華文=浄土
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雲鶴文=天界
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菊花・牡丹=吉祥
青磁の瑞々しい色合いは「清浄・浄土」を象徴し、器物そのものが宗教儀礼に不可欠な意味を持っていました。
つまり高麗青磁は単なる器ではなく、信仰・政治・美の交差点に位置していたのです。
◎ 李朝白磁の美は儒教的精神の体現
李朝白磁は儒教思想が徹底された社会で発展しました。
儒教の核心である
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節度
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簡素
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礼
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清廉
が白磁の造形や色に強く反映されています。
白磁の「無地」は、儒教の求める“無為自然”の美を象徴しています。
また、王族の祭祀、科挙、宮廷儀式など国家儀礼にも白磁は多用され、白は清潔・純粋の象徴として神聖視されました。
5. 使用目的の違い ― 王族の豪華な器か、儒教国家の公的器物か
◎ 高麗青磁:王族・貴族・寺院のための器
高麗青磁は主に以下の階層に向けて作られました。
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王室御用
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貴族階級
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寺院儀礼
そのため器物は美の競演ともいえる華やかさを持ち、芸術性が非常に重視されました。
◎ 李朝白磁:王室から庶民までの生活器
李朝白磁は用途の幅が非常に広く、
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宮中の正式な祭器
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士大夫階層の生活器
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庶民の実用品
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地方窯の大量生産品
など、社会全体で使われました。
白磁は“精神性”を核に持ちながらも、生活に密接に根付いた器でした。
6. 造形の違い ― 曲線美と気品 vs 無駄のない造形美
高麗青磁の造形
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湿り気を帯びた柔らかい曲線
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華やかなフォルム(香炉、瓶、壺、蓮弁高坏など)
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装飾性と機能性の調和
特に壺や花瓶は、どこか女性的で優雅な雰囲気をもちます。
李朝白磁の造形
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張りのある堂々とした曲線
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ゆったりとした膨らみを持つ壺(満月壺が典型)
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完全な左右対称への強いこだわり
白磁は美術でありながら、清廉な“精神の造形”とも言われます。
7. 技術発展の方向性の違い
高麗青磁:釉薬の追求と装飾技法の発展
高麗青磁の中心は釉薬の発色にあり、その色を最大化するために
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還元焼成の精密化
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象嵌という革新技法の発明
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釉薬厚の調整
が発展しました。
李朝白磁:胎土の管理と造形精度の追求
李朝白磁では
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胎土の白さの研究
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左右対称の造形技術
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焼成温度の安定化
など「形の完成度」を極めて重要視しました。
8. 市場価値の違い ― コレクターの評価と価格帯の差
◎ 高麗青磁の市場価値
高麗青磁は国宝級の名品が多く、市場に出る数は非常に少ないため、希少価値が極めて高いジャンルです。
特に高値がつくのは
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12世紀の翡翠青磁
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象嵌雲鶴文などの名文様
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康津・扶安の完品
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仏具系の名品
状態が悪くても高麗青磁なら一定の価値がつくことが多いです。
◎ 李朝白磁の市場価値
白磁は数が比較的多く、品物の幅も広いため、高麗青磁ほど一律に高額ではありませんが、
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初期李朝の官窯白磁
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宮廷儀礼用
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満月壺
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青花白磁
は非常に高額で取引されます。
また、庶民窯の白磁でも造形が良いものは近年評価が上昇しています。
9. まとめ ― 青と白という対極に宿る美の哲学
高麗青磁と李朝白磁の違いを総括すると、それは単なる“青と白の陶磁器”という表面的な違いではなく、
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宗教観(仏教 vs 儒教)
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階級社会のあり方
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美の価値観
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技法の方向性
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用途の違い
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哲学・精神性の差
といった根本的な文化的背景の差異から生まれたものです。
高麗青磁は「装飾美の極致」
翡翠色・象嵌・優雅な曲線など、感性と意匠が結晶した華麗な美。
李朝白磁は「静寂の美」
質素・清廉・完璧な造形による、精神性の高い美。
この二つの焼物は、朝鮮半島の美術が800年以上にわたって追求してきた「美の二つの方向性」を象徴しています。
どちらも世界の陶磁史において重要な位置を占め、今日でも多くの美術館・コレクターから高い評価を受けており、その魅力は時代を超えて失われることがありません。
高麗青磁を高く売るポイント
高麗青磁(こうらいせいじ)は、10世紀〜14世紀にかけて高麗王朝で製作された世界的名陶です。特に12世紀〜13世紀前半の翡翠色(ひすいいろ)をもつ青磁は「世界で最も美しい青磁」と絶賛され、象嵌技法を備えた名品はコレクター・美術館から非常に高い需要があります。近年は国際市場での人気上昇もあり、美術商やオークション市場では過去に比べて高額で取引される傾向が続いています。
しかし、高麗青磁は時代判別や技法の見極めが難しく、一般のリサイクル店では十分な評価がなされないことも少なくありません。ここでは、高麗青磁をより高く売るための実践的ポイントを、査定の基準・市場の評価・売却方法・保存状態・注意点など多角的に解説します。
1. 高麗青磁の価値を決める5大要素
高麗青磁の査定額は、次の5つの要素によって大きく変動します。
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時代(初期・中期・後期)
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釉調(翡翠色の鮮やかさ・透明感)
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技法(象嵌・刻花・無地など)
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器形(壺、瓶、香炉、皿など)
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保存状態(完品か、欠け・ヒビ・直しがあるか)
以下でそれぞれを詳しく説明します。
2. 時代の判別が最重要 ― 黄金期の作品ほど高額
高麗青磁は、制作時期によって価値が大きく変わります。
◎ 最も高額になるのは 12〜13世紀前半(黄金期)
この時代の青磁は翡翠色(青緑色)の発色が安定し、象嵌技法が成熟。
特に以下の特徴を持つ作品は非常に評価が高いです。
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釉調が深い翡翠色
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良質な胎土
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緻密な象嵌文様
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洗練された器形
黄金期は康津(カンジン)、扶安(プアン)などの名窯の品質がピークを迎えた時期でもあり、多くの美術館に収蔵される名品がこの頃に集中しています。
◎ 後期(13世紀後半〜14世紀)になると評価は下がる
後期は元の支配・戦乱によって技術の衰退が進みます。
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釉色が濁る
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象嵌が粗くなる
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器形がやや歪む
などの傾向があり、前期作品より価値は低くなります。
3. 翡翠色の釉薬が最重要ポイント
高麗青磁の最大の魅力は、翡翠のような青緑色の釉調です。査定では、この釉薬の状態と質が非常に重要になります。
評価が高い釉調の特徴
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透明感がある
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青緑色が深く、濁りがない
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釉薬の厚みが均一
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釉だまりの部分がより鮮やかで美しい
釉薬がくすんでいる、黄色みが強い、透明感が低い場合は評価が下がる傾向があります。
釉薬の表面の状態も重要
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ヒビ(貫入)
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表面の擦れ
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汚れ
などがあると価値に影響します。
しかし、年代物であるため軽度の使用痕はある程度許容されます。
4. 象嵌(ぞうがん)があるかどうかで価値が大きく変わる
象嵌技法は高麗で完成した装飾技法で、世界陶磁史の中でも特異な存在です。
象嵌には3種類あります。
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白象嵌(しろぞうがん)
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黒象嵌(くろぞうがん)
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白黒の二色象嵌
象嵌は、彫った文様に白土や黒土を埋め込み釉薬をかけて焼く技法で、極めて手間がかかります。
価格が高騰しやすい象嵌文様
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雲鶴文(うんかくもん)
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菊花文
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牡丹文
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蓮華文
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波涛紋
特に雲鶴文は高麗文化の象徴で、市場での評価がずば抜けて高いジャンルです。
無地青磁でも名品なら高額
釉調が完璧な無地青磁は象嵌以上に珍重される場合もあります。
無地はごまかしが効かないため、釉薬の質や形の美しさがより重要になります。
5. 器形(形)の違いで価格が大きく変わる
高麗青磁の中でも、特に高額になる器形があります。
◎ 高額な器形
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壺(つぼ):均整の取れたものは極めて高額
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瓶(へい):首の細さ・バランスが重要
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香炉(こうろ):宗教儀礼用のため需要が高い
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梅瓶(めいぴん):希少性が高い
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蓋物(ふたもの):象嵌技法が美しく出る
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鉢・皿:象嵌が見やすいため人気
◎ 比較的安価な器形
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茶碗類(李朝の茶碗と比べ需要が低い)
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日常器
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後期の大量生産品
器形は美術商が最も重視する項目です。
6. 保存状態 ― 完品が断然有利、修復は減額対象
高麗青磁は800年以上前の陶磁器ですので、多少の経年劣化は当然ですが、状態が値段に直結します。
◎ 完品は非常に高評価
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口縁の欠けがない
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ヒビがない
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金継ぎがない
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修復がない
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釉薬の剥離が少ない
完品は希少であり、美術館・コレクターが積極的に探しているため価格が跳ね上がります。
◎ ただし「修復あり」でも価値が残るのが高麗青磁の特徴
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金継ぎ
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裏面の直し
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表面の擦れ
などがあっても、高麗青磁は時代が古いため価値がゼロになることはほとんどありません。
7. 高く売るための実践ポイント
① 蔵出し・古い家の倉庫で見つけたものは捨てない
釉薬が剥がれていても、象嵌が見えづらくても価値がある場合があります。
② 絶対に自分で洗わない
青磁の釉薬は非常にデリケートで、
スポンジ・洗剤でも価値を下げる可能性があります。
専門家に見せるまで、埃を払う程度に留めるのが安全です。
③ 来歴(どこで、いつ手に入れたか)があると有利
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書付
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古い鑑定書
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収集家のメモ
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伝来箱
など、後付のものでも査定に良い影響を与えます。
④ 専門の美術商・高麗青磁に詳しい鑑定士に依頼する
高麗青磁の鑑定は難しく、素人では時代を見抜けません。
リサイクル店に持ち込むと安く評価されることが多いので、
高麗青磁専門の鑑定士がいる店に依頼するのが鉄則です。
8. 査定で最も重視される細部ポイント
◎ 高台(こうだい)の土の色と削り
高麗青磁は高台の仕上げで時代判別が可能です。
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初期は高い高台
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中期は整った削り
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後期は雑な削り
査定士は必ず高台をチェックします。
◎ 胎土(粘土)の質
康津系は胎土が灰色寄り、扶安は黄色味を帯びるなど、窯場ごとに特徴があります。
◎ 釉溜まり(釉だまり)の美しさ
内側や縁の釉の溜まりが鮮やかかどうか。
◎ 釉薬の気泡
釉の中の微細な気泡は手作り釉薬の特徴で、これも重要な評価要素です。
9. 高麗青磁の市場動向 ― なぜ今、高騰しているのか?
① アジア美術の国際評価が上昇
海外コレクターが中国陶磁から韓国陶磁へ関心を広げているため。
② 博物館の収集強化
韓国・日本・欧米の美術館が高麗青磁を積極的に収蔵。
③ 完品が減っている
市場に出回る頻度が減少し、希少性が年々高まっている。
④ 宗教美術の再評価
仏教文化の美術品が世界的に注目されている。
これらの要因が重なり、高麗青磁は長期的に高値で安定した市場と言われています。
10. 最も高く売るための売却方法 ― プロが教える最終結論
◎ 専門鑑定士への無料査定 → 出張査定が最良
理由は以下の通り:
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持ち運びの破損リスクがない
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大きな壺・花瓶でもその場で査定
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点数が多い場合も効率的
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来歴・保存状態を総合的に評価できる
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美術専門店は高麗青磁の取引経験が豊富
高麗青磁は専門性が高いため、「青磁に詳しい鑑定士」と「実際に高麗青磁を取り扱った経験」が絶対に必要になります。
◎ 即金買取より、専門店の査定交渉の方が高額になりやすい
高麗青磁は一点一点が美術品。即金対応の店より、本来の価値を丁寧に評価する美術商の方が高額提示になりやすいのは明らかです。
まとめ ― 高麗青磁を高く売るためには「専門性」が全て
高麗青磁は、翡翠色の釉薬、象嵌文様の美術性、歴史的背景の稀少性により、現在も世界で高い評価を受けています。しかし、その価値を正確に見抜ける専門家は限られています。
だからこそ、高麗青磁の売却では
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専門鑑定士の査定
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釉調・象嵌・器形の正確な見極め
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完品の保存
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来歴や箱の保全
などの要素が極めて重要となります。
高麗青磁は一見すると同じように見えても、時代や窯場、技法によって価値が10倍以上変わることも珍しくありません。
正しい知識と適切な鑑定を受けることで、本来の価値を最大限に活かすことができます。
高麗青磁を売るなら銀座古美術すみのあとへ
この記事を書いた人
東京美術倶楽部 桃李会
集芳会 桃椀会 所属
丹下 健(Tange Ken)

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