- 骨董品
七宝焼きの高価買取。高く売れる七宝焼きと歴史をご紹介。
色鮮やかで艶やかな輝きを放ち、古来より人々の目を惹きつけてやまない「七宝焼(しっぽうやき)」。その美しさは、まるで宝石を思わせるような上品さを備え、日本の伝統工芸の中でもひときわ華やかな存在として知られております。七宝焼きは金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けることで完成される技法であり、繊細な技術と芸術的なセンスが要求されるため、ひとつひとつがまさに職人の魂のこもった作品といえるでしょう。
特に明治期には、万国博覧会などで日本の七宝焼が世界的に高く評価され、「クロワゾネ(Cloisonné)」の名で西洋でも知られるようになりました。名工・並河靖之や濤川惣助といった名だたる職人の作品は、現在でも美術館やコレクターの間で高い価値が付けられており、アンティーク市場においても非常に注目を集めており高価買取が期待できます。加えて、現代でもその技術を受け継ぐ作家による作品や、戦後に輸出用として制作された華やかな花瓶・皿・香炉なども、根強い人気を誇っています。
しかし、七宝焼きの価値は一見して判断しにくく、一般の方がその真価を見極めるのは容易ではありません。「これは本当に価値があるのだろうか?」「古いけれど、売れるのか?」「どこに査定を依頼すればよいのか?」といったお悩みを抱えている方も多いのではないでしょうか。実は、七宝焼きは保存状態や作家、制作年代、図柄、サイズなどによって大きく査定額、買取額が変動するお品物です。正確な価値を知るためには、専門知識を持つ鑑定士による丁寧な査定が欠かせません。
当コラムでは、七宝焼きの歴史や代表的な作家、人気の高い作品の特徴、そして高く売るためのポイントについて詳しくご紹介してまいります。ご自宅に眠っている七宝焼きが、思わぬ高額買取につながる可能性もございます。大切に受け継がれてきた伝統工芸品を、次の持ち主へと託すための第一歩として、ぜひこのコラムをご一読ください。
七宝焼きの歴史について
七宝焼き(しっぽうやき)は、日本の伝統工芸の一つであり、金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けて装飾を施す技法でございます。その美しい色彩と艶やかな輝きは、まるで宝石のようであり、多くの人々を魅了してきました。七宝焼きは日本国内のみならず、海外からも高い評価を受け、特に19世紀後半から20世紀初頭にかけて、世界の博覧会で数々の賞を受賞するなど、日本の美術工芸を象徴する存在となりました。本稿では、七宝焼きの起源から発展、そして近代以降の変遷までを丁寧にご紹介させていただきます。
一、七宝焼きの起源
七宝焼きの技術は、もともとは古代エジプトやギリシアなどの地中海文明において発展した「エナメル(琺瑯)」技法が源流とされております。この技術は、シルクロードを通じて中国にも伝わり、やがて日本にも伝来したと考えられております。中国では「景泰藍(けいたいらん)」という名で親しまれ、明代には非常に高度な七宝技術が発達いたしました。
日本においては、仏教伝来とともに金属工芸の技術が流入したとされており、飛鳥時代にはすでに装飾としての金属七宝が存在しておりました。例えば、法隆寺の金堂内にある「玉虫厨子(たまむしのずし)」には、七宝の装飾が施されていたことが確認されております。この時代の七宝は宗教的な用途が中心であり、仏具や宝飾品など限られたものに用いられておりました。
二、江戸時代の七宝焼き
本格的な七宝焼きが芸術として発展するのは、江戸時代中期以降でございます。とりわけ注目すべきは、江戸時代後期に活躍した尾張(現在の愛知県名古屋市)を中心とした工人たちの存在でございます。
この時期、名古屋城下では刀装具や金工技術が高度に発展しており、そこに七宝焼きの技術が加わることで、美術工芸品としての七宝が本格的に制作されるようになりました。中でも、尾張七宝の創始者とされる「梶常吉(かじつねきち)」は、天保年間(1830~1844年)に透明釉を用いた本格的な有線七宝の技術を確立し、その後の七宝焼きの礎を築いた人物として知られております。
梶常吉は中国伝来の七宝焼きを独自に研究し、日本独自の気候風土や材料に合わせた製法を編み出し、現在の七宝焼きの原型を完成させました。この技術は弟子や後継者に受け継がれ、尾張を中心に七宝焼きの技術は急速に発展いたしました。この時代の七宝焼きは買取対象となる場合があります。
三、明治時代の黄金期
七宝焼きが最も華やかに花開いたのは、明治時代でございます。この時代、日本政府は「殖産興業」と「輸出振興」の政策のもと、伝統工芸を海外に紹介し、国家の威信を高めるための重要な輸出品として位置づけました。これにより七宝焼きも海外の万国博覧会などで紹介され、高い評価を受けるようになります。
中でも特筆すべきは、名工・**並河靖之(なみかわやすゆき)と濤川惣助(なみかわそうすけ)**の存在でございます。
並河靖之は、無線七宝と呼ばれる技法を確立し、線のないなめらかなグラデーションと繊細な絵柄で、七宝焼きを絵画的な芸術にまで昇華させました。彼の作品は、ロンドンやパリで開催された万国博覧会で絶賛され、今でも世界中の美術館に収蔵されております。
一方、濤川惣助は宮内庁の御用職人としても知られ、伝統的な有線七宝を中心に、華やかな色彩と精密な構図で多くの作品を残しました。彼の作品もまた、国内外で非常に高い評価を受け、七宝焼きの地位を不動のものといたしました。
このように明治時代は、七宝焼きが芸術品として最高潮に達し、輸出工芸としても非常に重要な役割を果たした時代でございました。この時代の七宝焼きは高価買取が望めます。
四、大正・昭和期の七宝焼き
大正時代以降になると、七宝焼きは美術工芸としての役割だけでなく、日用品や装飾品、記念品としての需要も拡大してまいります。昭和初期には、万年筆の軸、腕時計の文字盤、ネックレスやブローチなどのアクセサリーにも七宝が用いられ、その美しさと耐久性が評価されました。
第二次世界大戦後は、一時的に七宝焼きの需要が落ち込むものの、復興とともに再び注目されるようになりました。戦後は観光土産や輸出品としての七宝焼きが多数制作され、アメリカやヨーロッパなどの市場でも一定の人気を博しました。特に名古屋市の周辺では、七宝焼きの産地としての伝統を守りながら、学校教育や地域の工芸教室などでも技術の継承が続けられてまいりました。
また、近年では芸術家による現代的な七宝作品も登場し、ガラス工芸や現代アートの一領域としても評価されつつあります。
五、現代の七宝焼き
現在の七宝焼きは、伝統技術の保存と革新の両立を目指してさまざまな取り組みがなされております。特に愛知県あま市にある「七宝焼アートヴィレッジ」では、七宝焼きの歴史や技法を体験できる施設が整備されており、多くの観光客や教育関係者が訪れております。また、若手作家の育成や作品展示、実演なども行われており、七宝焼き文化の普及に大きく貢献しています。
さらに、現代ではコンテンポラリーアートとしての評価も高まり、国際的なアートフェアに出品されるなど、伝統と革新の融合によって七宝焼きは新たな価値を創出しています。金属や釉薬の選定、焼成技術においても、新しい素材や表現が取り入れられており、芸術的表現の幅が広がっております。
結びに
七宝焼きは、千年以上にわたる歴史を背景に持ち、日本の美意識と技術力が結晶した芸術工芸でございます。かつては仏教具や王侯貴族の調度品として、そして明治以降は国際舞台で日本の芸術を代表する存在として発展を遂げました。現代においても、その美しさと技巧は世界中の人々を魅了し続けております。
もしご自宅に七宝焼きの作品がございましたら、それは単なる装飾品ではなく、日本の文化と歴史が詰まった貴重な逸品である可能性がございます。七宝焼きの背景を知ることで、その価値をより深く感じていただけるのではないでしょうか。
七宝焼きを高く売るポイントについて
七宝焼き(しっぽうやき)は、金属の表面にガラス質の釉薬を焼き付けて作られる、日本を代表する伝統工芸品でございます。その繊細な美しさや多彩な色彩、精緻な意匠から、国内外で高い評価を受けており、美術品としても、工芸品としても根強い人気を誇っております。ご自宅に七宝焼きの花瓶、皿、香炉、額装、アクセサリーなどがあり、「売却を考えているが、どうすれば高く売れるのか分からない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。
本稿では、七宝焼きを少しでも高く、そして納得のいく形で売却するための具体的なポイントについて、丁寧にご紹介いたします。
一、まずは七宝焼きの価値を知る
高く売却するためには、まずご自身のお持ちの七宝焼きの価値を知ることが第一歩です。七宝焼きは見た目が華やかであっても、作家や制作年代、技法、保存状態などによって評価が大きく異なります。以下の要素が価値判断において非常に重要でございます。
1. 作家・銘の有無
七宝焼きの中でも特に価値が高いのは、名工による作品でございます。明治時代の名工である**並河靖之(なみかわやすゆき)や濤川惣助(なみかわそうすけ)**の作品は、海外オークションでも高額で取引されております。また、昭和・平成以降でも重要無形文化財保持者(人間国宝)や、日本工芸会正会員の作家によるものは評価が高い傾向にあります。
作品に銘(署名)が入っているかどうか、箱書きがあるかどうか、共箱(作家本人や関係者による箱)があるかどうかも査定に大きく影響いたします。
2. 技法や制作技術
七宝焼きには「有線七宝」「無線七宝」「凸線七宝」「省胎七宝」など、さまざまな技法がございます。特に明治時代に確立された無線七宝は、線の無いなめらかな表現が可能であり、高い芸術性を持つものとして評価されています。
高度な技術を要する作品ほど、希少価値が高まり、査定額も上がります。
3. 保存状態
七宝焼きはガラス質のため、非常に繊細で、ひび割れや欠け、剥がれ、焼きムラがあると査定が下がってしまいます。目立たないキズであっても、買取価格に大きく関係することがございます。
また、長期間飾られていた場合には、日焼けやくすみが生じていることもありますので、なるべく購入当時の状態に近い形で保管されていたものが高評価を得やすくなります。
4. 付属品の有無
七宝焼きには、作品本体以外にも、共箱・栞(しおり)・証明書・展示会カタログ・伝来の記録などの付属品が付いていることがございます。こうした付属品が揃っていると、真贋の確認がしやすくなり、信頼性が増すため、査定額がアップする傾向にございます。
二、売却前の準備を整える
七宝焼きを高く売却するには、査定の前にできるだけ良い状態で準備することが重要です。以下の点を意識してみてください。
1. 優しくお手入れする
七宝焼きは非常にデリケートな素材でできておりますので、強く擦ったり研磨したりすることは厳禁です。軽いホコリや汚れは、柔らかい布や刷毛などで優しく取り除いてください。
また、金属部分の錆なども無理に落とそうとせず、そのままの状態で専門業者に見てもらうのが安全です。手を加えすぎることで逆に買取価格が下がってしまうことがございます。
2. 付属品を確認・整理する
前述の通り、共箱や栞、作家名が記載された証明書などが残っている場合は、必ず一緒に査定に出してください。とくに箱の蓋裏に「花押」や「銘」が記されている場合は、それが真作である重要な手がかりとなります。
三、信頼できる専門業者を選ぶ
七宝焼きを高く売却するためには、取り扱い実績のある信頼できる業者を選ぶことが何より大切です。以下のような点に注目して選定されることをおすすめいたします。
1. 七宝焼きの買取実績が豊富な業者
骨董品全般を扱う業者の中でも、七宝焼きの買取実績が明示されているところを選ぶとよいでしょう。具体的な作家名や作品名、過去の買取例が掲載されていると安心材料になります。
2. 査定士の専門性
査定士が七宝焼きや明治工芸に詳しいかどうかも重要なポイントです。一般的なリサイクルショップやブランド買取店では、こうした工芸品の価値が十分に評価されないこともございます。美術品・骨董品に特化した査定士が在籍しているかどうか確認しましょう。
3. 複数の業者に見積もりを依頼する
一社だけに査定を依頼するのではなく、複数の業者に見積もりを取る「相見積もり」も高価売却の基本です。相場感を掴むことができ、査定額の交渉もしやすくなります。もちろん、手数料や出張費用がかからないかも忘れずに確認しておきましょう。
四、売却のタイミングと方法
1. オークションか業者か
七宝焼きを売却する方法としては、専門業者への直接売却のほかに、美術オークションやネットオークションを利用する方法もございます。
特に名工の作品などは、オークション形式で出品したほうが高値が付く可能性もございますが、売却までに時間がかかることや、手数料が高いこともございます。お急ぎの場合やスムーズな現金化をご希望の際は、専門業者への直接買取の方が適している場合もございます。
2. 展示会や海外需要も視野に
近年では、日本の伝統工芸品に対する海外の需要が高まっており、特に明治工芸は欧米のコレクターの間でも人気がございます。そのため、海外販路を持っている業者や、展示会に出品してくれるような販売ルートを持つ業者であれば、より高く売却できる可能性が高まります。
五、贋作や模倣品に注意
残念ながら、七宝焼きの中には模倣品や大量生産品も存在いたします。特に戦後の観光土産品や輸出用の七宝焼きは、大量に制作され、芸術性や希少性に欠けるものもございます。
ただし、その中にも現在では生産されていない希少なデザインや技術を持つ作品もあるため、見極めは慎重に行う必要があります。ご自身で判断するのではなく、専門家に鑑定を依頼するのが確実でございます。
結びに
七宝焼きは、その色彩の美しさや高度な技術に裏打ちされた芸術性から、多くの人々を魅了してきた伝統工芸でございます。適切な査定と販路を通じることで、思わぬ高値が付くこともございます。大切に受け継がれてきた品だからこそ、その価値を正しく評価してくれる専門業者にご相談いただき、ご納得のいく形でお手放しいただければと思います。
「これは価値があるのか分からない」とお悩みの方も、まずは一度、査定を受けてみてはいかがでしょうか。専門知識に基づいた正確な鑑定が、皆様の大切なお品物に新たな価値を見出してくれるかもしれません。
七宝焼きを売るなら銀座古美術すみのあとへ
この記事を書いた人
東京美術倶楽部 桃李会
集芳会 桃椀会 所属
丹下 健(Tange Ken)

創業40年の経験と知識、そして独自のネットワークなどを活かして、
お客様の大切なお品物を確かな鑑定眼で査定させていただきます。
作品の背景や、現在の価値なども含めて、丁寧にご説明し、
ご納得いただけるような買取金額を提示させていただいております。