骨董コラム
  • 中国美術
2022.10.27

【中国美術】買取・査定・相場について

中国美術と聞いて何を思い浮かべるでしょうか。書画や絵画、青銅器や陶磁器など人により様々なものが挙げられると思いますが、実際に中国美術は歴史の長さや多様な民族性で成り立っていることから、多種多様な作品が遺されてきました。古代から現代までを問わずその高い技術力や深い精神性に魅せられる人は多く、日本美術でも影響を受けている作品が存在するほど価値があります。中でも中国美術の核となるのは「書画」であり、魏晋南北朝時代、唐・元にかけて発展していきました。

 

中国美術についての歴史

今から約3500年前、殷の時代に王朝が戦争や狩猟に際して占うためにカメの甲羅やウシの肩甲骨に最古の漢字として「甲骨文字」を刻んだのが文字の始まりです。諸説はあるものの、約2000年前になると筆と墨を使って文字を書くようになったと考えられています。当初文字は実用的なものとして使われていましたが、時代と文化の移り変わりと共に書体も変化し、文字を芸術的に美しく表現する方法が生まれました。これが中国美術「書画」のはじまりだと言われています。

 

今も使われている書体である楷書・行書・草書を書体として芸術的な域に高め、確立させたとされる人物が「王羲之」でした。現代においてよく「字が綺麗な人」という表現をしますが、王羲之の作品はそのバランスの良さから字の模範的な基準になったと言っていいでしょう。

 

王羲之は「書聖」と称され様々な書体が評価されていましたが、後漢の書家である張芝は表現が豊かな草書を書いたことから「草聖」とされるなど、得意な書体というのは私たちが文字を書く時と同じように歴史上の書家にも存在しました。

 

少々余談を挟みますが、中国の唐時代までは筆で描いた絵画作品に「和歌」や「俳句」「狂歌」を書き入れるほかに「賛」を鑑賞者が書き込むことがありましたが、この時代においては作者自ら「賛」を入れることがありました。これが「自画自賛」の四字熟語の由来になっているというから、言葉にまでもたらした中国美術の影響力は計り知れません。

 

ちなみに自ら「賛」を入れたものでも実際に評価が高い作品が多く存在するため、他者からの「賛」ではなくても、作品の価値には影響しないとされています。

 

中国美術「書画」の特徴

書画に関する特徴について解説。

 

書画とはどのような作品のことを指すのか

「書画」は主に毛筆と墨を使い、漢字やかな文字、絵画を描いた作品のことを指します。
文字のみの書作品と書と絵画が一体になった作品が「書画」と呼ばれ、絵画にふさわしい漢詩が詠まれたり、絵画にまつわる漢詩が書かれていることもあります。描かれた作品は掛け軸、巻物、屏風などに表装がされるものが大半で、中でも掛け軸の割合が多いのが特徴です。

 

「詩書画三絶」の思想

「書道」「絵画」と、分けられた作品も勿論遺されていますが、それでも両方が合わさった「書画」が特別に好まれるのはなぜなのか。それは中国には「詩書画三絶」という思想があるためです。これは「詩」「書」「画」の3点はそれぞれの表現方法は異なるものの、書と画に詩文が加わって詩書画の三方面に頭抜けて秀でている、一つの世界を表現するためには融合させることが理想であるという中国の芸術家が生み出した独特の考えでした。

 

一人の作家が二つ以上の芸に優れた才能を発揮することは、中国以外の国にもないことはないですが、実際それらを兼ねる芸術家が多いのは他に類がないという点から、中国美術の中でも特に「書画」は世界中から注目されるようになったのです。

 

中国の人気書家・画家

中国美術「書画」を語る上では欠かせない人気の書家・画家をご紹介。

 

呉 昌碩

呉 昌碩(ご しょうせき)は清朝末期から活躍しました。清代最後の文人といわれており、詩・書・画・篆刻と幅広い芸に精通し、「四絶」と称賛されるなど中国近代の芸術家の中でも特に評価されています。書作品が多いですが、梅花図や牡丹水仙図といった書画では赤を効かせた作品が印象的です。

 

斉 白石

斉 白石(せい はくせき)は清末から活動し、現代中国画の巨匠と評された芸術家です。画・書・篆刻を作品として遺し、特に海老・蟹・鶏・鯉といった生物画を得意としていました。力強さのある筆づかいが特徴で、中には躍動感溢れる作品もあります。

 

黄 賓虹

黄 賓虹(こう ひんこう)は近代中国美術を代表する山水画家の1人。「国画大師(風景画の巨匠)」といわれています。墨の濃淡を生かした奥行きのある作風が特徴で、杭州棲霞嶺には黄賓虹記念館、浙江省金華には黄賓虹芸術館と、現地中国では2か所ものミュージアムが建設されています。

 

傅抱石

傅抱石(ふ ほうせき)は近代に活動した画家です。若くして日本に留学したことで知られており、帝国美術学校(現武蔵野美大)を卒業後は、東洋美術史学を専攻。その後国立中央大学芸術学科にて教授を務めました。深い自然観察を行い緻密な描写が特徴で、絵画が多いものの書画も遺しています。

 

范曾

范曾(はん そ)は現代中国画家の巨匠です。現代中国の三絶と称され、少年期で既に美術協会に参加するほどの才能を開花させました。人物画を好んでおり、伝統的な中国絵画を元にしながらも、流線的な輪郭で現代の中国人物画を確立しました。1979年に画家として初めて来日。1984年より岡山県岡山市西大寺に範曾美術館を開館しています。

 

高額買取価値のある中国美術の書画とは

「片付けをしていたら古い書画が出てきた」「以前から買取してほしい書画がある」という方もいますよね。ところがその作品が、買取価値があるかどうかわからない。そんな時に確認しておきたい項目をご紹介しましょう。

 

いつの時代に描かれた作品か

古い時代に描かれた作品は、現代まで遺されてきたという希少性から価値が高くなる傾向があります。特に中国では1966年~1976年にかけて毛沢東主導による文化大革命が起こり、貴重な芸術作品の多くが消失してしまったという悲しい過去があります。そういった理由もあって、1966年以前の作品は価値がつきやすくなっています。

 

有名な作家の作品であるかどうか

有名な作家の作品ほどコレクターが多く、無名作家の作品になると買取が難しいこともあります。同時に有名作家であればあるほど贋作や工芸品が多く出回りがちでもあるので、有名な作家であることに加え、真贋の見極めも重要です。鑑定士も細かく鑑定を行いますが、本物であることを証明するためには共箱や鑑定書があると高価買取の決定打となります。

 

保存状態

古い書画ほど価値が高くなることを考えると、どうしても劣化は避けられません。しかし最低限作品の保管場所に注意を払っておくだけでも傷みは防げる可能性があります。万が一シミやカビ、破れなどの傷みが見られた場合はその分がマイナス査定になってしまうことは覚悟しておきましょう。今後買取を検討しているようであれば、作品が焼けてしまわないよう暗室で保管することはもちろん、湿気が来ないよう桐箱の中に入れておくと安心です。そして何より、いつか売ろうと考えているようであれば、劣化を進ませてしまう前に早めに買取査定の相談をするのもひとつの手段と言えます。

 

買取に出すか迷った時は…中国美術の買取・査定について

誰が描いた作品かわからない、いつ頃の年代の作品なのかもわからない。そして売るかどうすべきか迷っている・・・。そんな時、まずは簡易査定に出して価値を知るところから始めてみてはいかがでしょう。作品の写真を撮ったら、LINEやメールを通して今すぐにでも査定に出すことができます。査定結果を知った上で実際に売るかどうするかはあらためて自ら決めることができるので、まずはお気軽にご相談を。「すみのあと」では掛け軸や巻物、屏風といった書画を含む書作品はもちろん、硯や墨、印材や掛け軸など、あらゆる中国美術を高価買取中です!

 

この記事を書いた人

東京美術倶楽部 桃李会
集芳会 桃椀会 所属

丹下 健(Tange Ken)

丹下 健(Tange Ken)

創業40年の経験と知識、そして独自のネットワークなどを活かして、
お客様の大切なお品物を確かな鑑定眼で査定させていただきます。

作品の背景や、現在の価値なども含めて、丁寧にご説明し、
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