- 掛け軸
仏画買取なら専門店へ|掛軸・絵巻・木版仏画まで高価査定
仏画は、信仰の対象であると同時に、日本美術史の中でも特に高い芸術性と精神性を備えた重要な文化財です。しかし、一般の絵画とは異なり、制作された背景や宗派、技法、彩色、表具、時代によって価値が大きく変わるため、適切な査定には専門的な知識と経験が欠かせません。当店では、密教・禅宗・天台・浄土など各宗派の仏画をはじめ、彩色仏画、金泥仏画、水墨の禅画、曼荼羅、名僧筆の墨蹟、寺院伝来の古仏画、掛軸まで幅広く取り扱い、長年培ってきた鑑定眼で正確に価値を見極め買取ります。
とくに仏画は、状態によって評価が大きく変動する点が特徴です。彩色や金泥の残り具合、顔料の状態、表具の傷み、虫食い、折れ、シミなど、宗教美術特有の判断基準が存在します。また、一見古く見える作品でも後補・模写の場合があり、その真贋や時代判定は専門家でなければ判断がつきにくい分野です。当店では、そうした仏画特有のポイントを丁寧にチェックし、真贋と保存状態を踏まえて適正価格をご提示しております。
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また、仏画は保存環境の影響を受けやすく、保管しているだけで傷んでしまうケースも多く見られます。「早めに査定していれば、もっと高く売れた」という例も少なくありません。売却をご検討されている方や、価値だけでも知りたい方は、ぜひ一度専門店の査定をご利用ください。当店では、お客様の大切な仏画を丁寧に拝見し、作品の魅力が正しく評価される査定をお約束します。

目次
- 仏画の歴史
- 仏画の種類別解説
- 1. 密教仏画(真言宗・天台宗)
- 2. 浄土教系仏画(阿弥陀・観音・来迎図)
- 3. 禅画(臨済宗・曹洞宗)
- 4. 天部像(毘沙門天・大黒天・弁才天など)
- 5. 七福神・神仏習合系仏画
- 6. 教化絵画(六道絵・地獄草紙・仏伝図)
- 7. その他の仏画(絵巻物・絵伝・護符・摺仏など)
- 総まとめ:仏画の種類は時代・宗派で大きく変わる
- 仏画を高く売るポイント
- 1. 仏画を高く売るための基本:まず「現状把握」をすることが大切です
- 2. 仏画の価値を大きく左右する「査定の5大ポイント」
- 3. 仏画を高く売るための具体的な準備
- 4. 仏画を高く売るためには「専門店選び」が最重要です
- 5. 売却のベストタイミングを知る
- 6. まとめ:仏画は「知識」と「準備」で高額売却できます
仏画の歴史
仏画とは、仏・菩薩・明王・天部といった仏教の尊像や、教え・世界観を視覚的に表現した宗教絵画の総称です。その歴史は、インドで仏教が生まれた紀元前5世紀頃まで遡り、日本へ伝わるまでの間に、インド・中央アジア・中国・朝鮮半島といった広範な地域で多様な様式が生み出されてきました。日本の仏画は、これらの文化的要素を受け継ぎながら独自の発展を遂げています。本稿では、仏画がどのような歴史をたどり、どのように現在まで受け継がれてきたのか、各時代の特徴を交えながら詳しく解説いたします。
1. 仏画の起源:インドから中央アジアへ広がる道のり
仏画の起源は、釈迦入滅後、仏教が広まり始めた初期の時代に遡ります。初期仏教では、釈迦の姿を直接描くことを避け、法輪・菩提樹・仏足石などの象徴で表現していました。しかし紀元前後になると、ガンダーラやマトゥラーなどの地域で写実的な釈迦の姿が描かれるようになり、これが仏像・仏画の原点になったと考えられています。
ガンダーラ地方ではギリシャ文化の影響を強く受け、大理石を思わせる写実的で立体感のある造形が特徴となりました。また、仏教がシルクロードを通って中央アジアへ広がるにつれ、敦煌やキジルといった石窟寺院で壁画文化が開花します。これらの壁画は、仏の伝説や経典の内容を鮮やかに描き出し、後の中国・日本の仏画にまで大きな影響を与えました。
2. 中国における仏画の発展
仏画は中国で大きく発展を遂げます。特に北魏・隋・唐の時代には絢爛な仏教文化が花開き、石窟寺院の壁画は非常に高い芸術水準に達しました。敦煌莫高窟に残る壁画は、膨大な仏教図像や曼荼羅的構図を持ち、中国仏教美術の到達点ともいえるものです。
唐代には密教が国家的に重視され、大日如来を中心とする密教尊像の掛け軸が多く描かれ買取対象となります。また、中国絵画の技巧が仏画に導入され、線描の美しさ、色彩表現の豊かさ、構図の均整などが高度に洗練されました。
宋代に入ると、より抒情的な水墨表現が発達し、禅宗の広まりに合わせて禅画が誕生します。達磨図や寒山拾得図などは、その象徴的な存在であり、日本の禅画にも多大な影響を与えました。
3. 日本への伝来:飛鳥・奈良時代の仏画
日本に仏教が伝わったのは6世紀中頃とされ、それに伴い仏画や仏像がもたらされました。飛鳥時代の代表例としては、法隆寺金堂壁画が挙げられます。これらは中国・朝鮮半島の影響を色濃く受けた端正で古典的な仏画であり、日本における仏画の原点となり掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
奈良時代には国家仏教が盛んになり、大規模な寺院建立に伴って仏画の制作も進みました。経典に基づく教理図や諸尊像が多数描かれ、密教的な要素を含む仏画も見られるようになります。『不空羂索観音像』などはその代表的な作例で、日本の仏画体系が固まり始めた時期といえるでしょう。
4. 平安時代:大和絵と密教仏画の黄金期
平安時代は、日本仏画が最も美しく成熟した時代の一つです。9世紀以降、唐から密教が本格的に伝えられ、真言宗・天台宗が隆盛すると、密教系仏画が急速に発展します。金泥や金箔、鮮やかな岩絵具を用いた荘厳な表現が特徴で、両界曼荼羅や五大明王図などが多く制作されました。
一方で、大和絵の成立により、日本独自の柔らかく優美な表現も仏画に取り入れられました。特に阿弥陀来迎図や浄土宗関係の仏画は、優雅で穏やかな画風が特徴で、人々の信仰心を支える重要な図像となりました。また、六道絵や地獄草紙などの教化用絵画も登場し、仏画は信仰だけでなく説話・思想を伝える役割を担っていきます。
5. 鎌倉~室町時代:写実性の向上と禅画の誕生
武家政権が誕生した鎌倉時代には、写実的で力強い画風が好まれるようになります。宋元文化の影響を受け、密教系の仏画では繊細で精密な線描を特徴とする作品が多数制作されました。不動明王や十二天図などは、迫力ある表現と高度な技法を合わせ持った名品が多く見られます。
また、禅宗の普及により禅画が大きく発展します。達磨図や布袋図、寒山拾得図などは、簡潔な筆致の中に精神性を込めた独特の表現を特徴とし、絵師ではなく禅僧自身が描いたものも多く存在します。室町時代には雪舟が登場し、水墨技法をさらに発展させ、日本美術史に大きな足跡を残し掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
6. 桃山・江戸時代:多様化と大衆化
桃山時代は障壁画が隆盛し、寺院建築の内部に大規模な仏画が描かれるようになります。金碧の豪華な色彩表現が好まれ、仏画も装飾性を帯びた作品が増えました。
江戸時代に入ると、寺院文化の浸透と町人層の台頭によって仏画はさらに多様化します。庶民向けの掛軸仏画や、神仏習合の影響を受けた七福神図など、大衆文化と結びついた仏画も多く制作されました。また、白隠や仙厓といった禅僧が描いた書画は、ユーモラスな筆致と深い精神性が高く評価され、現代でも人気の高いジャンルで掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
7. 近代・現代の仏画:伝統の継承と新しい表現への挑戦
明治時代には廃仏毀釈の影響で多くの仏画が失われましたが、その後、文化財としての重要性が再認識され、修復・研究が進みました。現代では、伝統技法を受け継ぐ絵師が数多く存在し、岩絵具や金泥、古典表具などを用いた本格的な仏画が制作されています。
一方で、現代美術の領域で仏教的モチーフを取り入れる作家も増え、仏画は古典だけでなく新しい表現の可能性を秘めています。仏画は過去の遺産にとどまらず、精神文化と芸術が融合する創造の源泉として現代にも生き続けています。
8. まとめ:仏画が伝える精神と歴史
仏画の歴史は、仏教がインドで誕生してから日本へ伝わり、そして現代に至るまでの壮大な文化交流の軌跡そのものです。時代ごとに様式や技法は異なりますが、仏を描き、人々に教えや救いを伝えようとする精神は一貫しています。日本では、信仰の対象であると同時に高い芸術性を備えた美術として発展し、多くの名品が今に伝えられています。
仏画は、単なる絵画を超えた精神文化の結晶ともいえる存在です。その深い歴史と豊かな表現は、現代の私たちにとっても大きな魅力を放ち続けています。
仏画の種類別解説
仏画とは、仏教の尊像や教義を視覚的に表現した宗教絵画のことで、信仰のために制作されたものから説話・教化を意図したものまで、多岐にわたる種類があります。日本の仏画は、インド・中国の伝統を受け継ぎながら独自の発展を遂げ、時代や宗派の影響によって非常に多様な表現が生まれてきました。本稿では、仏画を「種類別」に体系的に整理し、それぞれの特徴・歴史背景・代表的な作品や評価ポイントについて詳しく解説していきます。
1. 密教仏画(真言宗・天台宗)
■ 概要
密教仏画は、平安時代以降に隆盛した真言宗・天台宗の教義を視覚的に表した絵画です。曼荼羅に象徴されるように、宇宙構造や諸尊の関係性を体系立てて表現することを目的としています。
■ 主な特徴
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金泥・金箔を多用した荘厳な画面
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線描が極めて細密で高度な技術が必要
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岩絵具による深みのある色彩
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尊像の規範性が強く、作画のルールが厳格
密教仏画は、精神世界を形象化する目的のため、写実というより「象徴性」を重視するところに特徴があります。
■ 代表的な種類
① 両界曼荼羅(胎蔵界・金剛界)
密教を代表する仏画で、大日如来を中心とした宇宙構造を描くものです。
曼荼羅は買取市場でも非常に人気が高く、時代の古いものほど高額になります。
② 五大明王図
不動明王を中心に、降三世・軍荼利・金剛夜叉・大威徳の各明王を配したもので、迫力ある表現が特徴です。特に鎌倉〜室町期の作品は評価が高い掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
③ 大日如来像・諸尊図
密教の中心尊であり、姿勢・装身具・印相に厳格な規範があります。
■ 市場での価値
密教仏画は専門性が高いため、真贋や時代判定には鑑定力が必須となります。特に平安〜鎌倉のものは非常に希少で高価。江戸期でも質の良いものは評価されます。
2. 浄土教系仏画(阿弥陀・観音・来迎図)
■ 概要
浄土信仰の広まりに伴い、阿弥陀如来や観音菩薩を中心とした仏画が多く制作されました。平安後期〜鎌倉にかけて特に盛んとなり、庶民にも広く親しまれました。
■ 主な特徴
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穏やかで優美な大和絵の影響が強い
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金色を用いた幻想的で明るい表現
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救済思想を反映したやわらかい雰囲気
■ 代表的な種類
① 阿弥陀来迎図
阿弥陀が雲に乗って迎えに来る場面を描くもので、平安〜鎌倉期に多く制作されました。人気ジャンルの一つです。
② 観音菩薩像(聖観音・千手観音・十一面観音など)
観音は信仰の中心として多様な姿の掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
③ 地蔵菩薩像
子供を救う存在として江戸期に特に人気を集めました。
■ 市場での価値
観音・阿弥陀は特に需要が高く、時代と保存状態によって大きく価格が上がります。掛軸形式の江戸期作品も人気があります。
3. 禅画(臨済宗・曹洞宗)
■ 概要
禅宗の教義を反映した簡潔で精神性の高い仏画で、鎌倉以降に発展しました。絵師ではなく禅僧自身が描くことが多く、書画一体の独自の文化を形成しました。
■ 主な特徴
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水墨を中心としたシンプルな表現
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力強い筆致、勢いのある筆線
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余白の美を重視
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精神性・悟りの世界を象徴的に描写
■ 代表的な種類
① 達磨図
禅画の代表的モチーフで、禅僧の筆によるものは掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
② 布袋図
福々しい姿が人気で、江戸期には多数制作され掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
③ 寒山拾得図
中国禅僧を題材とした親しみやすいモチーフ。
④ 白隠・仙厓など高僧による書画
市場で非常に高く評価されます。
■ 市場での価値
禅画は国内外で人気が高く、名僧の真筆は美術市場でも常に高額です。特に白隠、仙厓、東嶺などの作品は国内外で競争が激しいジャンルです。
4. 天部像(毘沙門天・大黒天・弁才天など)
■ 概要
天部とはインド起源の神格を仏教に取り込んだ存在で、日本では神仏習合の影響で特に人気が高まりました。武士階級の信仰の対象となり、守護神として描かれることも多くあります。
■ 主な特徴
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勇ましい姿、躍動感ある表現
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鎧・武具・装飾が細密に描かれる
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信仰性が高い分、全国的に制作例が多い
■ 代表的な種類
① 毘沙門天像
武士の守護神として人気。甲冑の描写など技術が問われます。
② 弁才天像
水の神としての信仰もあり、美しい女性像として描かれることが多いです。
③ 大黒天・恵比寿などの福神像
庶民信仰と結びつき、江戸期には大量に描かれました。
■ 市場での価値
天部像は人気ジャンルで、特に鎌倉〜室町の古い作品は高額。江戸期でも質の高い工房作は評価されます。
5. 七福神・神仏習合系仏画
■ 概要
日本では古来より神道と仏教が融合してきました。その歴史背景から、日本独自の神仏習合絵画が多数生まれています。
■ 主な特徴
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仏教と神道の象徴が混在
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大黒天・恵比寿・弁天などの庶民的題材
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江戸期に特に多く制作され、町人文化と結びついた
■ 代表的な種類
① 七福神図
縁起物として人気の高いジャンル。
② 両面宿儺(りょうめんすくな)などの伝承図
日本独自の信仰を反映した絵画。
③ 山王信仰・熊野信仰関連の図像
神仏習合を象徴するテーマ。
■ 市場での価値
江戸期のものは比較的手頃な価格で流通しますが、質の良い絵師作品は高値がつきます。
6. 教化絵画(六道絵・地獄草紙・仏伝図)
■ 概要
人々に仏教の教義を理解させるために制作された絵画です。宗教教育のための「教科書」のような役割を果たしてきました。
■ 主な特徴
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ストーリー性が強い構図
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人物や場面が詳細に描かれる
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感情表現が豊か
■ 代表的な種類
① 六道絵(地獄・餓鬼・畜生など)
死後の世界を説くための絵画。迫力があり人気も高い。
② 地獄草紙
地獄の様子を描いたもので、平安〜鎌倉のものは掛け軸が多く描かれ買取対象となります。
③ 釈迦八相図・仏伝図
釈迦の誕生から入滅までの生涯を描く。
■ 市場での価値
物語性が強いためコレクター人気が高く、平安〜鎌倉の作例は極めて高額。江戸の教化画も安定した需要があります。
7. その他の仏画(絵巻物・絵伝・護符・摺仏など)
■ ① 絵巻物(仏教説話)
『源信地獄絵巻』『法華経絵巻』など、物語を連続的に描く形式です。状態が良ければ非常に高額。
■ ② 絵伝
寺院の縁起(歴史)を描いたもの。寺宝としての価値が認められます。
■ ③ 護符・摺仏(版画)
庶民が求めやすい形式で、鎌倉〜江戸期に大量に作られました。
■ 市場価値
絵巻は最も高額ジャンルの一つ。摺仏は手頃な価格帯が多いものの、古いものは評価が高いです。
総まとめ:仏画の種類は時代・宗派で大きく変わる
仏画は以下の要素によって多様化してきました。
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宗派(密教・浄土・禅宗・天台など)
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制作者(僧・絵師・工房)
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用途(礼拝・教化・護符・装飾)
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表現方法(彩色・水墨・金泥など)
その結果、仏画のジャンルは非常に幅広く、作品の評価ポイントも種類によってまったく異なります。
仏画を理解するためには、「どのジャンルに属するのか」を把握することが第一歩となり、買取・査定の際にも大きな判断材料になります。
仏画を高く売るポイント
仏画は、日本美術の中でも特に専門性の高いジャンルであり、宗教的背景・歴史的価値・技法の違いによって評価が大きく変わります。一般の絵画とは異なる独自の査定基準が多く存在し、日常的に目にすることのない作品がほとんどのため、価値を正確に把握するのは簡単ではありません。しかし、仏画の特徴を理解し、適切な準備をして売却することで、査定額が大きく上昇することも十分可能です。本稿では、仏画を高く売るために知っておくべきポイントを、専門店の査定視点や市場傾向も踏まえて詳しく解説いたします。
1. 仏画を高く売るための基本:まず「現状把握」をすることが大切です
仏画の価値は、作品そのものの質だけでなく、「今の状態」をどれだけ保てているかによって大きく左右されます。仏画は紙・絹・岩絵具・金泥・表具など劣化しやすい素材で構成されているため、まずは丁寧に状態を確認することが第一歩となります。
■ ① 状態を正確に把握する
特に確認すべきポイントは次の通りです。
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絹の破れ、折れ、虫食い
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岩絵具の剥がれや退色
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金泥・金箔の剥落
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シミ・カビ・汚れ
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表具(軸装)の傷み
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巻き癖の強さや折ジワ
これらの状態は、仏画の評価に大きく影響します。
「傷んでいるから価値がない」と思われがちですが、平安〜室町の仏画は多少の傷みがあっても非常に高く評価されます。
むしろ、素人が修復しようとすることで価値が大幅に下がることもあるため、触らずそのまま査定に出すのが最良です。
■ ② 尊像(モチーフ)を確認する
尊像の種類によって人気と相場が変わります。
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不動明王・大日如来→ 密教系で人気。高額査定になりやすい
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観音菩薩(特に千手・十一面)→ 時代が古いと評価が高い
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阿弥陀来迎図→ 平安〜鎌倉で高額
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禅画(達磨・布袋・寒山拾得)→ 国内外で人気が高い
分からなければ専門店に任せて問題ありませんが、種類が分かっていると査定がスムーズです。
2. 仏画の価値を大きく左右する「査定の5大ポイント」
仏画の査定基準は一般の絵画とは大きく異なります。専門家が特に重視するのが、以下の5項目です。
① 時代(制作年代)
仏画の価値において最も重要な要素が「時代」です。
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平安〜鎌倉:最高クラスの評価
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室町:密教画・禅画ともに人気が高い
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江戸:工房作も多いが質の高いものは評価が安定
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明治〜昭和:作家名・画派によって評価が変動
古いものほど高くなりやすいですが、時代の見極めは非常に難しいため、経験豊富な専門家の鑑定が必須となります。
② 技法・素材の質
仏画の技法は、専門家でなければ見分けられないほど高度です。特に次の要素は高く評価されます。
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岩絵具の発色が良い
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金泥・金箔が多く使われている
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精密な線描(密教画に多い)
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截金(きりかね)技法が施されている
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良質な絹本の使用
技法の高さは歴史的価値と直結しているため、査定額にも強く影響します。
③ 制作背景・作者・由緒
仏画は無名作も多いものの、次のような場合は大幅に価値が上がります。
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寺院伝来品(由緒書がある)
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名僧の書画(白隠・仙厓・東嶺など)
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有名絵師の作(狩野派、土佐派など)
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極書・箱書が付属している
とくに禅僧の真筆は国内外で非常に人気があり、数百万円に達する作品も珍しくありません。
④ 保存状態
状態が良い仏画ほど高値で売れます。
特に重要なのは以下の点です。
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彩色・金泥がしっかり残っている
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シミやカビが少ない
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表具が健全である
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折れや破れがない
ただし、古い仏画の場合は多少の劣化は当然であり、“時代相応の劣化”は評価を大きく下げません。
⑤ 市場需要(人気)
仏画はジャンルごとに需要が異なります。
人気の高いジャンル
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密教仏画
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禅画(日本国外でも需要が高い)
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阿弥陀来迎図
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不動明王
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大日如来
需要がやや弱いジャンル
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大量生産された江戸期の工房作
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摺仏(版画)など簡易な制作のもの
ただし作品の質や状態によっては十分高額になるため、一概には言えません。
3. 仏画を高く売るための具体的な準備
ここからは、売却前に必ずやっておきたい準備について解説します。
① 自分で掃除・修復をしない
仏画は非常にデリケートで、少し触っただけで絵具が落ちることすらあります。
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布で拭く
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乾拭きする
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消しゴムでこする
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表具を貼り直す
これらはすべてNGです。価値が半減することもありますので、絶対にそのままの状態で査定へ出すことが重要です。
② 付属品を揃えておく
仏画の価値を裏付ける重要な資料です。
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共箱・外箱
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由緒書
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極書
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伝来資料
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修復歴の記録
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寺院名の記載
付属品は査定額が1.5〜3倍に上がることもあり、非常に強力な評価材料になります。
③ 作品の来歴(プロヴァナンス)をまとめる
以下の情報は価値の判断に役立ちます。
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どこから入手したか
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どの寺院に伝来していたか
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家でどのように保管されていたか
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修復歴があるか
分かる範囲でメモにまとめておくと、査定士が作品の背景を正確に判断しやすくなります。
④ 写真を撮って事前査定を活用する
遠方の場合や複数点ある場合は、写真査定が便利です。
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全体の写真
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顔の部分のアップ
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装飾部分のアップ
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裏面や箱書き
これらを送ることで概算がわかり、売却の判断がしやすくなります。
4. 仏画を高く売るためには「専門店選び」が最重要です
仏画は一般のリサイクル店や美術の知識が浅い業者では正しい価値判断が難しいため、必ず仏教美術に詳しい専門店に依頼すべきです。
適切な専門店の条件は次の通りです。
■ ① 仏教美術の取り扱い実績が豊富
密教仏画、禅画、来迎図、曼荼羅など幅広いジャンルを扱っていることが重要です。
■ ② 査定士の知識が豊富
仏画の時代判定には、
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絹の織り
-
顔料の種類
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表具の時代
-
描線の特徴
といった高度な知識が必要となります。
■ ③ 出張査定・写真査定に対応
大きな絵巻物や fragile な仏画を安全に移動できない場合でも安心です。
■ ④ 修復・保存の知識がある
仏画は「扱い方」で価値が変わるため、正しい保存アドバイスができる業者が望ましいです。
■ ⑤ オークション相場に詳しい
国内外の動向を把握している業者は、高額査定が期待できます。
5. 売却のベストタイミングを知る
仏画の市場は常に動いており、売却時期によって査定額が変動することもあります。
■ ① コレクター市場が活発な時期
年末・年度初めは需要が増加します。
■ ② オークション前後
大規模オークションがある時期は市場が動きやすく、高値がつきやすい傾向があります。
■ ③ 為替の状況
禅画や密教仏画は海外需要が高いため、円安の時期は有利になることがあります。
6. まとめ:仏画は「知識」と「準備」で高額売却できます
仏画は、仏教美術の理解が不可欠な特殊ジャンルであるため、
「どこに査定を依頼するか」
が査定額に大きな差を生みます。
高く売るためのポイントをまとめると、次のようになります。
■ 仏画を高く売るための10箇条
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自分で掃除をせず、触らずにそのまま査定に出す
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状態(劣化箇所)を確認してまとめる
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尊像(モチーフ)を把握する
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付属品(箱・由緒書)を揃える
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来歴(プロヴァナンス)を整理する
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作品の写真を撮っておく
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修復歴があれば必ず伝える
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仏画を専門に扱う買取店を選ぶ
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市場が活発な時期に売却する
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一度の査定で決断せず複数の査定を比較する
仏画は、日本の精神文化と芸術が融合した極めて価値の高い美術品です。
正しく評価されることで、その価値が100%発揮され、高額買取へとつながります。
仏画を売るなら銀座古美術すみのあとへ
この記事を書いた人
東京美術倶楽部 桃李会
集芳会 桃椀会 所属
丹下 健(Tange Ken)

創業40年の経験と知識、そして独自のネットワークなどを活かして、
お客様の大切なお品物を確かな鑑定眼で査定させていただきます。
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